『頁をめくる音で息をする』藤井基ニ

開店時間23時。尾道の路地に佇む古本屋「弐拾㏈」。この本に出合ったのは2年前の「本のマルシェin HERBIS」梅田のハービスENTという商業ビルでの本のイベントで。本屋ライターの和氣正幸さんと内沼慎太郎さんのトークショーで紹介されて。本屋の可能性を心底楽しそうに語るお二人に触発されて手に取った。そして、今年4月に尾道の店舗を訪問。その日は、GWの休日尾道まつりの当日で、神輿が通るからと看板を動かしていて店は空っぽ。店主藤井さんは文章よりも饒舌で、旅先ではしゃいで写真を先に撮ってしまった私を辛口でたしなめる。そうだ、こんな客は困ると本に書いてあった・・・今更ながら、ごめんなさい。気になる本を手に取ると値札が付いていない。値段を尋ねると、その本は僕のバイブルみたいな本だから、売れないよとすまして言う。時間がいくらあっても足りないと思わせる本の森の中、本の息遣いの中に飲み込まれてしまうよう、まさにタイトル通りの店だった。その夜福山経由の高速バスで松山の実家に帰る道のりはJR在来線の乗り継ぎの時間が合わず、約5時間。弐拾㏈で購入した文庫本に助けられたのは言わずもがな。
今年も今週末、10月18日(土)19日(日)大阪では三回目の『本のマルシェ』が開催される。居留守文庫のブースで「あどさん文庫」も出店させていただく。本と店と人との出会いに期待が膨らむイベントだ。  (あどさん文庫 森本)